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裁判所の管轄
訴訟を提起する場合、提起先の裁判所が決まっており、これを管轄と言います。
通常の訴訟提起の場合、事件等と裁判所の管轄区域との関係から、以下のようになります。
1.原則(普通裁判籍)
被告の住所を管轄区域とする裁判所
2.許容(独立裁判籍)
以下の土地を管轄区域とする裁判所も、管轄裁判所となる。
(1)債権債務:義務の履行地
(2)不動産:所在地
(3)不法行為:不法行為のなされた地
(4)相続権:相続開始時の被相続人の住所
ここで、不法行為の訴えは原告住所での独立裁判籍が通常認められています。
なぜなら、不法行為の損害賠償請求は財産上の訴えと解されているところ、財産上の訴えについては義務履行地が特別裁判籍
として認められており、義務履行地は特約がない場合には債権者の住所となることから、通常、
不法行為の被害者であると主張する原告の住所で独立裁判籍が認められてしまうためです。
しかし例えば、原告以外の者だけで原告の遠隔地で為された行為を原告に損害を与える不法行為として訴訟提起された場合、
原告住所と離れた場所に住む被告に過大な負担を強いるもので、被告住所を普通裁判籍とした原則の意義を没却してしまいます。
そして、当事者が合意して締結した契約と異なり、不法行為では原告住所は被告が通常予測しえるものではなく、又、
不法行為の為された場所ではないので証拠収集等の審理上の便宜もないからです。
尚、不法行為については、不法行為地という独立裁判籍が規定されています。
そこで、不法行為につき義務履行地を独立裁判籍として認めることには、有力な反対意見があります。
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